次期管理職候補が職場ぐるみの育成に挑む、現場育成力強化プログラム
企画の背景・課題
若手・中堅職員の育成においては、上司や管理職だけでなく、職場の中核を担うリーダー層が日常の業務の中でどのように関わるかが重要になります。
特に、接客・販売・顧客対応など、日々の業務の中で若手職員が壁にぶつかりやすい職場では、本人の主体性や自律性を引き出しながら、安心して挑戦できる環境をつくることが求められます。一方で、評価やフィードバック、日常的な指導の仕方が人によって異なり、育成が属人的になりやすいという課題もあります。
また、次期管理職候補となる中堅リーダー層には、単に上司からの指示を遂行するだけでなく、マネジャーの右腕として職場ぐるみの育成を推進する役割が期待されます。しかし、管理職への意識やリーダーとしての自覚が十分に醸成されていない場合、自ら上司に働きかけたり、職場全体を巻き込んで育成を進めたりする行動につながりにくいことがあります。
そこで本プログラムでは、次期管理職候補となる中堅リーダー層を対象に、現場育成力・OJT力・主体性・リーダーシップを高める実践型育成プログラムを企画しました。

企画の目的・ゴール
本企画の目的は、次期管理職候補が、組織をつくる管理職の右腕として、主体性を持ってリーダーシップを発揮できる状態を目指すことです。 具体的には、メンバーの主体性を引き出すコミュニケーションを学び、実際のメンバーを想定した育成計画・OJT計画を策定し、職場で実践することを通じて、現場育成力を高めることを目指しました。 また、本プログラムでは、育成を本人ひとりの努力に閉じるのではなく、上司・同僚・職場メンバーを巻き込みながら進めることを重視しました。受講者が、育成対象者との関わりだけでなく、職場全体に働きかけ、育成を組織ぐるみの活動へと広げていくことを狙いとしました。 最終的には、受講者が自組織のOJT計画やメンバー育成計画を策定・実践し、職場改善への手応えを得ること、また活動終了後も継続して実践する意欲とモチベーションを高めることをゴールとしました。
企画・プログラムの内容
本プログラムは、約5か月間にわたり、集合研修、実践期間、オンラインでのフォローアップ、成果共有を組み合わせて実施する構成としました。
事前学習では、リーダーシップや主体性、コミュニケーションに関する動画学習を通じて、受講者が研修に向けた基礎理解を持てるようにしました。
Day1では「育成力強化」をテーマに、リーダーシップに欠かせない要素、上下左右への影響力の高め方、共感力と論理力を活かしたコミュニケーションを扱いました。さらに、相手に興味のベクトルを向ける「聴く力」、相手の価値観や関心を引き出す「質問する力」、GoodとMottoを意識したフィードバックやアサーティブコミュニケーションなどの「伝える力」を、ロールプレイングを通じて実践的に学びました。
また、個人の育成にとどまらず、組織ぐるみの育成を考えるために、チームビルディングの基本的な考え方や、職場内での役割分担についても扱いました。研修の最後には、実際のメンバーを想定した育成計画・OJT計画を作成し、自組織内で合意形成したうえで実践に着手する設計としました。
実践期間中には、受講者が職場で育成計画を実行し、メンバーとの対話、承認、フィードバック、上司や同僚への相談・巻き込みなどに取り組みました。必要に応じてオンラインでのフォローアップを行い、実践状況の確認や、活動を前に進めるための助言を行いました。
Day2では「成果共有・キャリア」をテーマに、実践の成果、育成対象者や職場の変化、自身の成長実感、今後の課題を共有しました。さらに、実践を通じて乗り越えた壁や、自分自身のモチベーションの源泉を振り返り、これからのキャリアや管理職候補としてのありたい姿を再整理しました。
ロカリスの支援内容
ロカリスでは、現場育成力強化に向けたプログラム全体の企画設計から、研修内容の構築、事前学習の設計、ロールプレイングを中心とした研修運営、OJT計画・メンバー育成計画の作成支援、実践期間中のフォローアップ、成果共有会の設計までを一貫して支援しました。
特に重視したのは、受講者が知識として育成やマネジメントを理解するだけでなく、実際のメンバーを想定し、具体的な育成行動に落とし込むことです。そのため、研修では「聴く」「質問する」「伝える」といった育成コミュニケーションを、実際の職場場面に近い形で練習できるように設計しました。
また、育成対象者との1対1の関わりだけでなく、上司・先輩・同僚を巻き込みながら、職場全体で若手・中堅職員を育てる視点を持てるように支援しました。受講者が「自分だけで何とかする」のではなく、周囲に相談し、協力を引き出し、職場ぐるみで育成を進めることを促しました。
さらに、実践期間を通じて、受講者が計画を立てるだけで終わらず、実際に行動し、振り返り、改善する経験学習のサイクルを回せるよう伴走しました。成果共有では、受講者が実践の成果や自身の成長、今後の課題を言語化し、次の行動につなげられるよう支援しました。
取り組みの効果・変化
本プログラムを通じて、受講者は部下・後輩育成に対する自身の関わり方を振り返り、育成に必要な知識やスキルを実践的に学ぶ機会を得ました。アンケートでは、相手のことを知ろうとする姿勢、深掘りの必要性、部下とのコミュニケーションの取り方、自身の伝え方や接し方の課題に気づいたという声が見られました。
また、受講者は、傾聴、承認、フィードバック、部下に任せること、上司への相談、メンバーへの声かけなど、実際の職場で活用できる行動を具体的に学びました。育成対象者の課題を通じて、自分自身の指導の仕方やマネジメント上の課題に気づく機会にもなりました。
実践期間を設けたことで、受講者は学びを現場で試し、育成計画の実行や職場への働きかけに取り組みました。中には、部下育成を計画・実践・振り返りのサイクルで進めることの有効性を実感した受講者や、職場内で育成の取り組みを共有し、他セクションにも波及させようとする受講者も見られました。
全体として、受講者の学習意欲は高く、学びを実践に落とし込む力が非常に高いことが確認されました。個人単位の育成にとどまらず、職場ぐるみの育成へと視座を引き上げたことで、受講者自身が組織に与える影響を意識し、育成を通じた職場改善や組織変革の可能性を感じ取る機会となりました。
一方で、今後に向けては、受講者同士が連携し、横断的に学び合いながら成果を生むチーム実践の強化、実践期間中のフォロー設計の精緻化、組織全体への視座拡張、成功事例のナレッジ化などが発展ポイントとして見えてきました。
本プログラムは、次期管理職候補が現場育成力を高め、職場ぐるみでメンバーの成長を支援する力を育てる取り組みとして、個人の育成から組織変革の担い手育成へと発展する可能性を持つ実践型プログラムとなりました。

